2018年5月 1日目:本拠地岩井を強襲!


日の本には幾多の英雄たちが存在した。ヤマトタケル、聖徳太子、行基、忍性・・・・等々。
その中においてもっとも異彩なる輝きを放つ存在がいる。それが・・・・・平小次郎将門である!!

私たちは将門の息吹を感じる為ここ岩井の土を踏んだ。現在は岩井市と猿島町が合併し板東市と名乗っているところである。
よく板東という地名は耳にするのだが、はたして板東とはなんであろうか?通説では足柄坂と碓氷坂を越えたところが板東となっているのだが、私は地理的なものよりも名称が気になる。野蛮なる東や夷東の事ではないのだろうか?当時の公家は夷なるものをとても嫌っていたのでそういう名称で卑下したと思うのだ。
奈良時代よりうち続く蝦夷征討戦は嵯峨天皇の時代に落ち着き、それまで板東から徴収していた兵や物具などは、東北の現地で調達するようになっていった。そして、服属した蝦夷は俘囚と言う名で板東各地に移植される。
その俘囚が乱を起こし、群盗たちが跋扈する。征討戦で鍛えられた板東のつわもの共は暴力でそれを鎮圧する。
そういう荒々しい土地柄であることが公家たちにとって理解しがたいものであったことは想像に難くないことである。

私たちは守谷駅からバスで板東市は岩井のメインストリートへと降り立った。この国道354号というところの両脇が商店街になっていて、飲食店がたくさん並んでいた。まだ新しい建物が多く最近整備して古い商店街から引っ越してきたのであろうと思われる。人通りは少なく、車通りも多くはない所であった。 このメインストリートから脇道に入り市役所へと向かう。この市役所の通りの方が商店街の名残を残しているような感じがした。

脇道からさらに奥まった所にその物体は存在した。木の陰から徐々に見えてくるその物体に私たちは恐れおののいた。それくらい坂東市役所は異様なる建築物であった。これが東の血のなせる業なのかもしれない。 あまりに驚愕で写真を撮れなかったのでネットから写真を借りてきた。まだ2017年にできたばかりで70億円ものお金を掛けているそうだ。橿原市のホテル付市役所が100億円かけていることを考えると、こちらの市役所もかなりのお値段を費やしているように思える。2018年の板東市長選挙で現職が大差で敗れたそうだが、この市役所が大きな理由であることは間違いないのではなかろうか。

市役所は中に入ると解放感あふれる作りで、なかなかいい気分になれるところではあった。床が木目調なのも雰囲気としてはいいのだが、市役所のイメージとはかけはなれてしまっている。 商工観光課というところで将門の事について聞きに行く。地図を数枚渡され色々と親切に聞いてくれたのだが、市としては将門はもう売りにだすべき存在と認識していないようだ。
最後に「ものすごい綺麗な市役所ですね。」と言っておいた。
男性の方は微妙な表情をしながら「色々なご意見を言われます。」と、笑っていた。

市役所でさしたる情報を得られなかったので図書館へと向かった。岩井図書館は最近流行りの総合文化ホールの中にある。行くところ行くところの図書館が総合ホールの一部と化しており、図書館の必要性が語られる時なのかもしれない。ちょうどCCCの問題もあることだし議論が活発になる事を祈りたい。
図書館の郷土資料コーナーにも将門関連の本は置いていなかったので資料探索はこれで終了となる。この図書館は市役所と比べると雰囲気も照明も暗く感じた。まるで図書館の未来を示しているかのようだ・・・。
総合ホールの前にあった将門の銅像が左の写真。右の写真は国王神社にあった将門ファンの方の書いた絵。比べてみるとあまりにも違う。左の写真などはどう見ても平貞盛ではないかと思う。右の写真は誰が見ても、「将門!!」と叫んでしまうような絵だ。
彫刻家の方には是非とも「将門記」を読んでいただき作り直してもらいたい。

夕雲の朱色に輝く町を散策していると、東にそびえるつくば山が次第に影になっていく。そのシルエットを背景に岩井の町を歩いている人々がいる。
犬の散歩をしている日本人、陽気な雰囲気でおしゃべりしながら歩いているインド人の集団、貫頭衣のような服を着た男性(後に聞いて分かったが、バングラデシュ人らしい)。
奈良時代から平安時代にかけて、新しく来た渡来人たちはこの板東の地にまとまって入植させられた記録があるという。そこには蝦夷の俘囚などもおり、将門が生きた時代もまさしく多国籍であったはず。
今まさに、私は将門と同じ風景を見ているのではなかろうか。そう思うとこの地の空気が急に神聖なるものに感じられた。
この日の夜は鎌倉屋という釜飯屋でとる。出汁がきいていて、具も色々入っており美味かった。岩井の名物なのか分からないが釜飯屋が多かった。



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