2013年8月 5日目:長崎市




小高い山と海が近すぎる、と思ったのが長崎市に到着しての第一印象でした。小浜も南島原も山と海の間には平地がほとんど無いんですが、長崎市はビルが乱立しているせいもあって小高い山がよけいに圧迫感を感じさせるのです。
長崎駅前の歩道橋より下を覗き込むと、長崎市ならでは!と感嘆する道路が通っていました。そうです、チンチン電車の路線が混じっているんですね。県外民が長崎市に引っ越してきた場合、一番、慣れるのに苦労するのはこの道路なんじゃ…?

長崎市では
・出島ワーフ(海沿いに立ち並ぶ飲食店街。入江特有の眺め良く夜は混雑)
・出島復元地区(鎖国時代にあって唯いつオランダ人の出入りが許された)
・唐人屋敷(中国との密貿易を規制する施策の一環として建てられた)
・長崎中華街(規制理由が喪失し廃れた唐人屋敷の隣地にて発展してきた)
・グラバー邸(イギリス商人の邸跡地に長崎市内の遺物を移築した観光地)
・大浦天主堂(殉教死した聖人に手向けて建てられた教会)
・オランダ坂、どんどん坂、下がり松坂
・長崎の夜景

を回りましたが、楽しかったところをご紹介したいと思います。
「なにそれ、長崎旅行の目線ちゃうやん!!」とツッコミを入れたくなる部分もあるかもしれませんが、どうぞご容赦を。

それではこちら。出島復元地区の一場面です。
出島復元地区の奥へどんどん歩いていくと、未復元地区があり、すぐそばにこんな味のあるビルが建っていました。味があるというか迫力があります。うっわぁ、これただのビルじゃないわ。そう思い、おそるおそる入口に掲げていた看板を見に近づきました。あ〜!やっぱりそうなのね。「出島診療所」。撮影するのもはばかれて、その場をすぐ離れたのですが、後日知ったのですが、このビルは長崎市の名物なんだそうです。出島診療所は別の土地に移転してしまいましたが、そこがかつて診療所だったことの雰囲気が残っているというのはすごいと思いました。興味のあるかたは「日新ビル」で検索してみてくださいね。
このビルの雰囲気が好きというかたが雑貨店として入っていたりしてて、普通に入れるみたい。ああ〜!入ってみておけば良かった!中も味がありそうでした!

長崎県庁の近くにある「山ぐち仕出し店」で買った長崎市名物の「ハトシ」(写真右)。このお店は卓袱料理や家庭料理の仕出しを専門としているようですが、ネットで見る限りハトシのほうが有名になっています。もちろハトシは中華街の屋台だったり商店街のお店でも買えます。エビのすり身をパンで挟んで揚げた、卓袱料理の一品にもなっている料理なのだそうです。
「山ぐち」のハトシは味付けが控えめで、ほんわり柔らかい味わいがありました。うん、これはいいね。もう1つ何か食べてみようかしら…と目についたのが、写真左のお惣菜です。商品名は失念してしまいましたが、エビのすり身を高野豆腐で挟んで煮たのかな?ハトシと違ってしっとりしっかりの食感です。

長崎中華街の近くにある唐人屋敷跡です。中国貿易商人の住居地だったこの地は、かつては長屋が棟を連ねていましたが、何度かの大火事ごとに景観が変わってきているそうです。そんな中、信仰を集めていた4つのお堂も再建を繰り返しながらも中国風の雰囲気を残しています。こちらは、4堂の1つ「土神堂」(1977年再建)。家や土地の守り神として、お正月には繁栄を祈念して「龍踊り」が行われるとか。
この土神堂周辺の雰囲気が良かったので、写真を何枚か載せたいと思います。

特に、土神堂の隣の路地が風情たっぷりで良かったです。商店があり住宅があり、軒下に赤提灯をぶら下げ中国人らしい苗字を店の看板に掲げるというような、「中国風」のアクセントを控えめに散りばめているところを1つ1つ見つけては、あぁ中国風だなぁと私は異邦人の気分に浸る…。
ところが、「中国風」様式を過激にアピールした建築物(写真右の緑色の窓枠あたり)が1軒ありました。「男湯」「女湯」と2つの扉に文字がありましたので、これは銭湯です。圧倒的な存在感を示している銭湯ではありましたが、営業している気配がまったくなくいつかは取り壊される運命にあるのだろうと思います。それでもその日まで赤や緑を基調とした激しい主張は色あせることはないでしょう…。

おお、軒下が、ラーメンの丼風の模様です(少し模様が違いますけど)。ここでふっと京都の黄檗寺の欄干を思い出してしまいました。

唐人屋敷の外れにあった墓地です。「土神」と赤い文字で掘られた石碑が墓地のあちこちに建っているのが気になったのです。土神といえば、唐人屋敷の中にあった4堂の1つがそういう名前でした。先祖の眠る墓地に、子々孫々の繁栄を祈る神も祀るのですね。自分の実家の墓地の中に、鳥居やら祠が建っているような感じなのかしら…。このように言い直してみると違和感がありますね。先祖(霊)と氏神(神)とを分けてしまった日本人ならではの違和感だと思います。お供えしているお花も、墓碑の石盤にラーメン丼の模様が彫っているのも、いろいろと違和感。

「坂道の町、長崎市」をかみしめるのにちょうどいい風景だと思います。グラバー邸園やオランダ坂からかなり離れた、静寂な家の立ち並ぶ一角に「どんどん坂」がありました。この通りは洋館も多く、樹木の垣根、レンガの高い塀、石を積み重ねた門、思い思いの個性を出した門構えが密着して続いています。観光客がまったく居ないので、思う存分、ゆったりと風情を味わうことができます。

夜の長崎湾です。我々は、長崎県美術館の屋上庭園から、夕方〜夜にかけての色彩の変化を眺めて楽しみました。週末だったせいでチンチン電車は異常な混みっぷりの上に、私も乗降方法が分からないのです(笑)危うく、電車に取り残されるところでした(笑)長崎県人は思った以上にチンチン電車を身近な交通手段として見ているようです。



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