2017年3月 三日目:池田港界隈


小豆島に来て早くも二日間が終わった。本日の空は光があまり差しこんでこないが、島の明るい雰囲気のせいか私の気分はすっきり晴れている。
今日からはホテルが池田港に変わる。二泊したホテルマルセが餞別にしょうゆせんべいをくれたので、さらに気分が良くなり足取り軽やかに東へ向かっていった。
なんども通った国道を東へ歩き続ける。すると塩見製麺所の前に、元屋醤油というお店があった。お土産に小さめの醤油と塩を購入する。ついでにこの辺りでそうめん屋さんが無いかを聞いてみたのだが、この辺りにはないと言われた。思わず、すぐ斜め向かいにありますよ、と言いそうになった。

醤油屋を出て国道をひたすら進み、山あいの道を通り過ぎようとしていた時に、一度追い越した車が突然止まり何故かバックしてきた。
「乗ってけ。」と男性が窓を開け言ってきた。誰やこいつ?と思ってよく見ると醤油屋のご主人だった。ちょうど池田港へ配達の用事があるらしい。少し悩んだがそうめんが重いのでお言葉に甘える事にした。
ご主人によると、「土庄には何もない、内海に行くべきや。デカい醤油屋もある。醤油ができて400年、盛んになったのは200年。道路拡張工事なんかもせんでもええのに。」とのこと。しかし今回は内海に行く予定はないので、次回の参考にしておこう。
さすがに車だと早く15分程で到着。しかもホテルの前まで送っていただいて本当に助かった。元屋醤油さんありがとう!
国民宿舎というホテルに荷物を預けさっさと出かける。どうやら裏が城山と言われているようだ。
この城山も佐々木信胤が領有していたのだが、私はこの佐々木をまったく知らなかった。太平記に出てくるほど有名みたいで、小豆島にはこの人の伝説が多いらしい。
例の如く城の遺構などはさっぱり分からなかったが、足元が砂地で非常に歩きにくかった。これもやっぱり雨が少ないせいなのだろう。

城山から北側に降りたところにあった池田の桟敷。「幅が64メートルで、高さが15メートル、秋祭りの太鼓台や神輿の大練りを見物するために築かれたと思われる。構築年代については安政2年(1855年)以前と推定される。桟敷のひとつひとつを村の有力者らが占有していたが、後になってそれを売買できるしくみになった。」説明板にはこのような事が書かれていた。
城山のすそ野のようなところを利用して作っていて、ここで山から平地に変わり池田の町に入って行く。こんなところに壮大な石垣群があったからかなりびっくりした。
幕府直轄領だからこういう事ができたらしいのだが、かなり裕福でないとこんなことはなかなかできない。醤油やオリーブは近年だし、塩やそうめん等はどこでも作っていたそうなので、廻船業でよほど稼いでいたのだろうか?日本海から瀬戸内の航路の港はどこも儲かっていたようだが、ここもそうだったのだろう。

池田港のシンボルになっているふとん太鼓。好きすぎて桟敷だけでは飽き足らず、常にふとん太鼓を見ていたいという一心で作ったのか、池田に帰ってくる人達に向けてのメッセージなのか、どちらにしてもすごい執念だ。
ここに来る途中に平井兵左衛門なる人の顕彰碑があった。江戸時代に延宝の検地というものがあり、それにより小豆島は増税されることになってしまい、平井氏が江戸の奉行に年貢を下げてほしい旨の訴状を提出したらしい。当時は高松藩預かり地だったため越訴とみられ、斬罪獄門となった。
顕彰碑にも人づくり風土記にも、詳細が微妙に書かれていないし結果もどうなったのか分からない。ただ300年経った今でもこうやって祀っているのだから、きっと直訴の効果があったんだろうとは思う。ここを通った時はまったく気にならなかった人なのだが、人づくり風土記に書いていたので有名な話なのかもしれない。

この池田付近が小豆島のそうめん屋のメッカらしく、実際あちこちにそうめん屋があった。ネットであらかじめ仕入れてきた情報だと、ここに真砂そうめん屋さんがあるらしいのでそれを探す。
まず見つかったのがこちらの協同組合。せっかくなので入ってみたが、2キロから売るということなのでやめておいた。「島の光」ならどこで買っても同じやから、少量ならマルナカとかで買えと言われた。
町内案内図を見てるとそうめん屋が一杯書いてあり、真砂製麺さんも3つもあったので近くの市役所で聞いてみた。昼飯時で留守の人しか居なかったのに、とても丁寧に調べてもらい、地図までつけてくれたのでとても助かった。ついでに食堂が無いかを聞いてみたが、この辺りはあまり無いが、1つ忠左衛門カフェという食堂があることを教えてもらった。
頂いた地図を参考に真砂製麺に向かう。山に向かい少々坂を上っていくとすぐに真砂喜之助製麺に到着した。建物の中でそうめんを干していたので入らずに電話をしてみたが、昼飯を食べているのかまったく電話にでてこない。仕方がないので先に忠左衛門カフェで昼食をとった。オリーブパスタだったか?を売りにしていたのだが、私の好みには合わなかった。洋風食堂といった感じでオシャレな食堂が好きな方にはいいのかもしれない。

もう一度真砂製麺に向かうと、真砂製麺とカフェの間に丸善製麺があり、そこで試食をさせてもらった。オリーブパスタよりもそうめんの方が好みにあっていた。奥に豪華な隠し部屋があり、そこで食べさせてもらってさらにうまく感じた。ここでいくつかそうめんを購入して真砂製麺に向かう。
先ほどと同じように家の前で電話をかける。昼飯が終わったようですんなり電話に出てくれて、中に入るように言われる。扉を開けそうめんが干している中に入った。すると比較的若いご主人が出てきて説明をしてくれた。今のこのご主人は3代目で、この方のおじいさんが真砂製麺を広めたのだそうだ。真砂製麺さんはシンプルそうめん、丸善さんはモチモチそうめんだった。個人的には小豆島で一番うまかったそうめんは真砂喜之助さんだった。
真砂さんを出てブラブラしていたのだが、そうめん屋が見つからなかったのでバスで草壁港へ行ってみた。
すこし小さな峠を越えて草壁港に到着。そこでもブラブラしたのだが、こちらにはそうめん作っている所はあまりなさそうだった。唯一見つけたキンダイ製麺さんでそうめんを購入する。ここは工場で従業員も働いているような大きな規模のところだった。

ホテルに帰っても晩御飯が無いであろうと思い、こちらのうどん屋さんで少々早い晩御飯をいただいた。オリーブ牛うどんを食べたのだが、よく分からなかった。柔らかめの食べやすい麺だったけどインパクトは薄いかも。
しかし・・・これでは足らなかったので、弁当屋に入り親子丼を購入。ここの店主の反応が面白く、え?おまえ買うの?みたいな感じだった。きっと観光客が買いに来る事が少ないのだろう。しかもバスを待ってる間に弁当も食べてしまった・・・。
そして真っ暗な中ホテルに帰り、貸し切り状態の大浴場を満喫することができた、これが非常に気分良かった。やはり高いホテルは違うもんだ。



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