2017年6月 4日目:雨の日の赤穂散策


この日、天気予報では雨だとテレビで言っていたので図書館で、飽きたら本を購入し喫茶店でも過ごそうという話になっていました。朝食は数十年ぶりのマクドナルド、もうどんな食べ物だったかも思い出せないくらい久しぶりのマクドナルドでした。しかしここまで好みが合わないなら思い切ってセットごと捨てるべきだったかも…。
図書館の開館時間までまだ余裕がありましたので、図書館に隣接する赤穂市文化会館を見に行きました。コンサートを開催したり、貸し会議室をやっているようで、ホワイトボードには各階、各ホールのスケジュールが書き込まれていました。平日だからなのか空いているみたいでした。
外に出たら、男性が世間話している一団があり、その中に見覚えのある顔がありました。個性的なファッションの人だったのですぐに思い出せたのですが、昨日、坂越でみた漁業関係者だったのです。あぁそう言えばさきほどのホワイトボードに「漁業連合会議 ○:○○〜」とありましたなぁ。ということは漁業関係者がたむろっているわけですね。余所者が思う以上に、坂越は近所のようです。
ようやく時間になりましたので、今にも降り出しそうな空模様から逃げるように図書館へ向かいます。図書館は立派で真新しかったのですが、忠臣蔵以外の蔵書が充実していなかったのが残念でした。郷土コーナーで粘ったけれどどうしても眠くなってしようがありません。お昼時にもなったことですし晴れ間を縫って飲食店を探しに行きます。

図書館から出たところの国道沿い、auショップの隣に立派なお堂がありました。心惹かれてふらふらっと近づいて見ます。失礼ながらも、お堂の内側を覗かせて頂きましたところ真言?梵字というのか…太く荒々しい筆で描かれた文字、杖に付いている大量の御幣、旅の安全を願ったのかそれとも全国を旅して回って土木事業を興した弘法大師へのお供え物なのか…今も地元民のご信仰厚く丁寧にお手入れされていることが良く判るお堂でした。丸い玉を葡萄のように綴って飾っているのがありましたけれど、それが何なのか判りません。判るかたがいらっしゃいましたら教えてください。
さて午後です。午後は秦河勝をテーマにした歴史資料館の「秦の郷」を探しに行くことになりました。赤穂初日、たまたま入った店に置いてあったパンフレットでこの資料館のことを知り、何度も通っている播州赤穂駅近辺にあるようなんですが、目にすることがなかったのです。雨がひどくなりそうなので、早く見つけないとと急ぎ足になります。
それなのに、その途中にある商店街の陶器屋にまたもや寄り道してしまいました。ウィンドウ越しに「備前焼」「古伊万里焼」や「雲火焼」を眺めていましたら、女性が出てきまして「よろしかったらどうぞ」と…。お言葉に甘えて入店しました。老夫婦で経営しているそのお店は、味のある階段箪笥に陶器を飾っていたり(それもやや無造作に)、私たちにお出ししてくれた昆布茶も備前焼の茶セットでという贅沢な空間を醸し出していました。2割引しますよと言われ、すっかりその気になり買うつもりで品定めに入ります。
「雲火焼」は赤穂の陶器で江戸時代にいったん途絶えてしまったのですが、最近、再現して生産しだしているのだそうです。特徴としては、ひたすら磨きに磨きをかけているのでツヤがあり綺麗ですが、脆いので日常品には不向きとのことです。
ご主人お勧めは「備前焼」とのこと…私も大好きなんですよね縄文土器のような無骨さ、暖かさ。備前焼は、備前の堆積層で作っているので特有の表現となり他の陶器では表せないのだそうです。焼く時も「赤松」でしか焼かない、黒松で焼くと色が濁ってしまうというようなことを教えてくれて、赤松で焼くことによって出てくる「白いくすんだような模様が備前焼の醍醐味である!」と熱く語ってくれました。。
陶器のこと、木のこと、山のこと、だんだん昔のこと、戦争のこと、会話に熱がこもりすぎてしまい、気がつくと、外は雨もあがり昼下がりの強い日差しに変わっていました。なんと昆布茶に珈琲まで色々ご馳走になりつつの2時間近くになってしまった模様です。時間が時間なので、本腰を入れて買うものを決めなくてはとさらに30分くらい迷った結果、お皿を数枚+スープカップを購入いたしました。
また赤穂に来ることがあったら寄り道してみたいものです。

雨予報だったので一日どうしようかと思っていましたが、なんだかんだともう16時になってしまいました。当初の目的であった「秦の郷」を探しに播州赤穂駅に向かいますが、やはり見つからず、駅構内の観光案内所に訪ねるも知らないとのことでした。JR乗り場である2階から町並みを眺めながら「もう諦めようかねぇ」と言葉を交わしていたところ、建物の挟間に「秦の郷」という看板をとうとう発見してしまいました。やはり初めて訪れる町には一度高いところから地形なり雰囲気なりを眺望するのが一番把握するのに近道ですね。文化研究者・宮本常一氏の教えですけど(笑)
見つけたそのビルは、「ご自由にお入りください」と書いてありますが、気軽に入れる雰囲気じゃありませんでした。様子窺いに相棒が忍び足で近づくと、中の人がこっちを見ているではありませんか。目が合ってしまった相棒。声を掛けざるをえない状況になってしまい、物怖じしながらもせっかくなので入館しました。
主人は作家だと名乗り、ここは「文化人のサロン」だと楽しげに話していました。もう1人いたのは彫刻家だとか。展示は簡素ながらも秦河勝がメインでしたが、「山鹿素行(儒学者)」や「赤穂義士事件(忠臣蔵)」にも精通していらっしゃるらしく、特に「赤穂義士事件」の話になると熱くなっていました。
「申し状を見ると、討入りではなく喧嘩の続きにすぎない」
「それを冊子にまとめた、赤穂義士会会長も成るほどと納得してくれた」
「映画化の話も進んでいる」
「映画が決まれば小国(赤穂出身のボクサー)を浅野役にする」
愛知の吉良サミットで討論して欲しいものです。きっと面白い。
最後に「永遠の忠臣蔵」という冊子を頂きました。

夜ご飯は、駅に近接した商業施設内の「赤穂ラーメン 麺坊」で済ませました。インパクトはないけれど、ふんわりとしたお味でした。そこでも「秦の郷」やご主人の話について相棒と語り合い、ホテルに戻る道中でも語り合い、これは我々の勉強不足で理解しきれていない部分があるようだという結論にいたってすぐさま本屋に入ることにしました。「赤穂義士事件」と「山鹿素行」の冊子を購入し、赤穂人の熱い語りにも付いていけるように乱読いたします。


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