2017年10月 3日目 ブラジルの町


ウナギを食べたのは3食だけでしたがもう飽きてしまい昨晩はスーパーのカップ麺ですましてしまった。うまいけどもそう毎日食べる代物ではないのかもしれない。

ヌートリア街道を経て浜松へ再度やってきた。またもや観光案内所に行き質問をしてみる。
「ブラジル商店があると聞きましたがどこにありますか?」
案内所の男の方が対応してくれたがブラジルをあまり聞かれる事がないのか怪訝な顔をしていた。
「ブラジル商店?すぐそこにあるのはあるけど・・・。」
「ブラジル人あまり見ないですがそんなに一杯います?」
「最近すっかり減ってしまってるな。東南アジア人のが多いかもしれんわ。」
男性が言ったことに私は納得した。ヌートリア街道でも外国人学習支援センターなるものがあり、東南アジア系の人がそこに入って行くのを数人見かけたのだ。
「防潮堤が御前崎市にできてると聞いたのですが、ここからは遠いですか?」
ここで少し男性は思案してから口を開いた。
「御前崎市はもっと東でここからはだいぶ遠い。防潮堤ができている所は浜岡原発や。この辺では中田島砂丘に行けば数段積んでるけどな。」
なんと!あの有名な浜岡原発は御前崎市だったのだ。
あとはこの後行く予定の博物館への行き方を聞き観光案内を出てブラジル商店に向かった。ブラジル商店では別段目をひくものがなかったのでココナッツジュースだけを買って店を出た。

その後、私たちはバスに乗り博物館へと向かった。バスでも例のごとくベラベラとしゃべる。
「あの有名な浜岡原発って御前崎市にあるんやって、みなさん東の方とか御前崎市とか言うから分からんよね。」
「そうやねえ。ニュースで見なくなってすっかり忘れてたね。でも防潮堤作ってるってことは再稼働する気満々なんやね。」
「ブラジル人も少なくなったんやって、どういうことなんやろねえ。」
そんな話しをしていると博物館にはすぐに到着。

せっかく来たけど浜松博物館はあまり興味をひくものがなかった。しかし展示スペースでやっていた小学生や中学生の自由研究コーナーがかなり面白かった。旅行、狛犬、パキスタン、介護、ウナギなどそれぞれ好みのものを研究していたのだ。
ウナギ研究のはこんな感じで書いていて、こんなエサ見るのも初めてだしびっくりした。
他のもかなり興味深くて楽しめたのだが、全部読む時間が無かったのは残念だった。

博物館近くで食事をとり浜松駅まで歩いて戻る。その途中に古本屋があったので寄ってみる。
「微妙に開いてるけど出かけてるんかな?一応声かけてみるか。」
「すいませーん!本見せてもろてもいいですか?」

しばらくして初老の男性が出てきてシャッターを全開にしてくれた。
「客なんか来る事ないから閉めようかなと思っててん。二か月ぶりくらいやで、最近の人らは動画ばっかりで活字見ないやろ?うちも年配の客が多くて俳句の本なんかはたまに売れるんやけどな。んーー、せいぜい50以上かなぁ?あんたも50は過ぎてるやろ?」
「マジッスカ!?まだ50いってないッスヨ。ショックッスヨ。」
「あ・・・、いや、なんやあれやね、希少価値やね。文学青年に文学少女かいな。いや素晴らしいね。」

主人は少し驚いた顔をしたあと、話しをそらすように違う話をしだした。
「古い本も結構あるやろ?昔の紙は年に1回虫干しをしないとあかんのやけどそれが面倒なんよ。」
「やっぱり色々面倒な事があるんですね。」
「部屋を片付けてくれとか依頼があんのやけど本が50冊以上ないかぎりは受けないんや。でもこんなゴミのようなものとかも入ってくるんや。」

そう言っていたので本屋の中を見回してみると、Q太郎の人形やら閃緑岩やら額縁だけとかいろいろなものが置かれていた。
「最近は本屋もめっきり少なくなりましたね。去年くらいに神保町に行ったのですが、神保町も昔に比べると全然ダメになってるらしいですよ。」
「神保町って御茶ノ水の所か?あそこは年に一回くらい勉強に行ってるわ。今は店舗でやってるとこめったにないねんけど、最近ちょこちょこと若い人らがやりだすとこがあってそこに本を分けてやったりしてるねん。ん?井上ひさし?ああ、前は結構あったんやけどなあ・・、知らん間になくなってもうたかもしれんわ。まあゆっくり見て行ってや。」

二か月ぶりの客だったからか色々しゃべられてしまったが、じっくりと吟味し、海音寺の「二本の銀杏」を見つけて購入。これは今はもう売ってないような本なのだ。
古本屋はこれで辞去し、今回のウナギ旅行は終わった。浜松駅から快速電車に乗り、懐かしのヌートリア街道を車窓に眺めながらの帰国となった。

「ウナギ帝国がそうでもないことにもびっくりしたけど、それより3回も食べたら飽きてしまって次食べたいと思わないのが一番衝撃やったわ。」
「そやね。もうしばらくウナギは食べなくてもいいかもね。でも堺のウナギ屋が一番好きやなあ。」
「確かに堺のはウマかったんやね。しかしスーパーのはどこも不味いのが定番なんやけど、地元スーパーのを買わなかったのは失敗やね。一度は食べておくべきやったわ。」
「それは仕方ないんちゃう?スーパーにウナギが売ってるって知らなかったもん。」
「ブラジル商店なんかももっとブラジルっぽくしてほしかったよなあ。今回一番面白かったのは小中学生の自由研究かもしれへん。」
「あれ面白かった。他の博物館でも同じような事やってくれたらいいと思った。」

電車の中では今回の感想や反省などを眠るまでしゃべっていた。

お土産で買って帰った青のり。ヒトエグサを使った板ノリは珍しくて他ではちょっと見たことがない。だいたいは「あおさ」としてポロポロ状で売っている。土産屋の人に教えてもらったのだが、これをコンロでさっとあぶってから食べると非常においしいのだ。



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