宇和島旅行2日目


朝、ホテル近くの川沿いを歩いた。昨夜と同じく満水ということは深夜に干潮になっていたということだろう。
昼に日振島へ出発するので、それまでの間に宇和島の町を散策。あまり人が歩いていないこともあって少し沈んだ雰囲気の町である。
「道の駅きさいや」が宇和島港に隣接して営業している。国道沿いで広い駐車場があるからか、ここには多くの人が集まり活気に満ちている。街と店内のバランスの違いが非常に不思議であるが、日本中どこも同じような空間が生み出されている。
この道の駅で日振島での食事を調達していく。弁当・おにぎり・とうまんを購入した。


11:30初の高速船で日振島へ。2000円程の料金だった。
船に乗る前に宇和島を振り返ってみると、宇和島城天守閣が見送ってくれている。雲に覆われている山は鬼ヶ城山で、いつ見ても写真のような状態だった。

九島大橋をくぐり外海へと出ていく。時折見える島が、海に屹立しているように見える。その景色を写真で撮りたかったが船のガラスに阻まれうまく撮れなかった。さらには風も水しぶきも感じないので海を移動しているという気持ちになれないのは少し残念だった。

一時間ほど船に揺られて日振島に到着し、南から3つの港、喜路ー明海(あこ)ー能登へと止まって行く。それぞれの港では船の入港時刻に合わせて人が待っており、人や荷物を出迎えている。私たちが降りた能登でも同じようにたくさんの人が出張っていた。
島人にとっては日常の中のほんの小さなイベントなのであろう、船が去っていくと同時に人も去って行き、港はまた静寂に包まれてゆくであった。

港からすぐの沖合には沖ノ島が見える。ハマユウという花が有名らしいのだが徒歩では渡れないようだ。

少し能登港周辺を散策してみる。ここは山の切れ目があり対岸を見る事ができる。島の東側は穏やかな海で、集落もあり養殖網もたくさん浮かんでいる。


西側は絶壁になっていて人が住めるような場所もなく、波が荒いのか養殖もやっていないようだ。砂岩か泥岩のような岩がゴロゴロと転がっているし、剥き出しの山肌を見ていると島の荒々しさが感じられる。

集落の奥に入って行くと三島神社が建立されていた。社殿は新築されているが石橋や石垣は昔の風情を残している。社を覗き込んでみると牛鬼のお面が飾ってあった。日振島は宇和島の文化圏に入っているのだと感じた。


神社の隣は墓場になっていた。狭い谷の地形に石を積んでいきスペースを確保している。石垣はかなり上の方まで続いているが現在では使われていない部分も多くあるように見受けられる。

明海集落を目指し国道を歩く。集落を離れ、急な上り坂を登って行く。時々、木々の間から見える山と海が綺麗だ。


道中の地蔵堂にてオヤツ休憩で「とうまん」を食べた。饅頭の皮をペチャンコにしたようなオヤツで、しっとりとした皮の食感とゆず餡がとてもうまかった。
稜線にしたがって登り降りを何度か繰り返し、2時間程歩いただろうか。日振島トンネルという175mの小さなトンネルにたどり着く。そこを抜けると眼下に小さな海水浴場と大きな建物、そして何故かヘリポートがあった。地図上では日崎海水浴場と記されていて、綺麗に手入れされているところなのだが、ヘリポートがあるのはどういうことだろうか?

公園を過ぎるとさらに小さなトンネルがあり、そこを抜けると明海集落だ。トンネルの向こうに人家が見えていて、暗くなる前に着いて良かったと一安心。


トンネルを抜けた所がすぐ港になっていて、そこに今回宿泊した「礒乃屋」さんがあった。


さっそく部屋へと入らせてもらい休息する。外観も綺麗だったが部屋はもっと綺麗でびっくり、さらに、トイレや風呂も綺麗にされていて、こちらの女将さんの性格がよく出ていると思った。
綺麗なだけではなく、数々の高級そうな調度品、小さな冷蔵庫やインスタントコーヒー、障子戸の向こうはテラス席のようになっていてタバコも吸えるように灰皿が置かれていた。さらにクーラーがガンガン効いていたし、風呂のお湯はソーラーで沸かしているというハイテクぶり。

電話予約したときは「純友公園なんて碑が建ってるだけやで?」と言っていて、南予らしい穏やかな口調も相まって、客がたくさん来られても困るのか、やる気がないのか、と心配していたのだが、夜ご飯がすごく豪勢でこれまたびっくりしてしまった。
ブリの甘醤油焼き・イカとハマチの刺身・アジ汁・野菜と豚肉煮びたし・アジの唐揚げ・イカバター炒め・トコロテン・タコの甘酢・サザエつぼ焼き、とても一人で作ったとは思えないようなメニューだが、かなりやる気をだして作ってくれたのだろう。非常においしくいただきました。

一泊7500円というそこそこのお値段だったので島価格なのかと思っていたが、夜ご飯を売りにしている宿だったようだ。

日振島に来てこの宿が一番驚きだったかもしれない・・・。





旅行記に戻る