宇和島旅行1日目


会社帰りの夜に南港フェリー乗り場へ。初めてフェリーで宿泊することになり少し緊張気味。切符購入時はそんなに混み合っていなかったものの、船内へ入るとかなりの人が利用していることに驚いた。
晩御飯は船内で鯛飯を食べる予定だったが、食堂にはズラッと人が並び鯛飯などはとうに売り切れていたのだった。仕方なく適当なものを注文した。
豪華な船内を興味本位でウロウロする。部屋はカプセルルームのようだ。ロビーはとても綺麗にされていて、あちこちで人がくつろいでおしゃべりをしたりしていた。金曜日ということもあって行楽客が多いようだ。


甲板へ出て大阪の地を振り返ってみる。私と同じような人々が夜の光に思いを馳せ、古来から続いてきた船出に少し酔いしれているかのようである。自然は感傷に浸る事を拒否するかのように、まるで早く去れと望むかのように、強い風を身に打ち付けてくるのである。
やがて酔いは覚め、めいめい元の場所へと戻り、時間を弄ぶかのように寛ぎだす。私も狭い部屋へと戻り眠い目をこすりながら次の土地の事を想うのだ。

狭い部屋ではあるが夜行バスと比べると、足が伸ばせるので体はグッと楽である。バスでは中々寝付けないが、ここでは知らぬ間に幻想の世界へといざなわれていった。

朝六時過ぎに東予港へと入港。ここからバスで松山へ、さらにバスを乗り継ぎ宇和島まで行くのである。
2〜3時間バスで寝てしまう。気づいた時、すごく高い山塊が一気に海まで落ち込んでいく場所で、眼下に海が広がっていたのだ。ここから山道をどんどん下って行き、あれよという間に海の高さと目の高さが同じになってしまうのである。ここが伊予吉田であった。ここからは少し海岸線を通り、宇和島駅前へと到着したのだ。

駅前には商店はほとんど無く、大きなホテル、コンビニと喫茶店があるだけだった。駅構内の観光案内所でマップを物色し、付近にただ1つしかない喫茶店で休憩。長いバス利用で凝った体をほぐしながらうまい珈琲をいただいた。
駅のすぐ近くにパフィオ宇和島という3階建てのビルがあり、図書館や子供預り所?などが入る文化施設になっている。その隣には新しく建設された土産物テナントが並ぶが、人が全然いなかった。そこから100mほど西へ行くと大型スーパーフジがあるのだが、そちらはかなり来店する客が多い。「文人に愛された街・宇和島」という文言がパンフレットという紙面に踊る中、現実の世界では大型スーパーの惣菜コーナーが愛されているのである。


JRが終着してしまう駅宇和島。線路が四国の海沿いをグルッと周っていてもよさそうなものであるが、ここより南の宿毛へは土佐からしかつながっていないのだ。ほんとうに僻地である印象が強い土地である。

しばし街をぶらつき、晩飯には大介うどんを選択する。


牛鬼をトレードマークにしているが料理とはなんら関係はない。このお店は器でお値段が決まる。この器だと3玉入ると言われ、それを温め直してしっかりと水を切り汁を掛けるのだ。具は別料金である。
コシの少ない優しいタイプの麺。出汁の塩気が少し強かった。手慣れた客ばかりで地元の人に愛されているお店かと思っていたら、ウエスタンハットをかぶった外人も手慣れていてびっくり。

駅近くの商店街はシャッター街と化していて、食堂などはほとんど無かった。そんな商店街も夜の看板だけは活気があった。御覧のように丸い看板がズラッと奥まで並んでいるのだ。この看板を文人達も眺めたのだろうか?そんな事を思いながら歩いていると、知らぬ間に商店街の端まで来ており、暗闇の広がる城山の樹林が見えるのだった。


港近くのホテルに行く途中、海へとつながる川が増水していた。
宇和島はかなり入り込んだ内海地形なので大海が見えてこないが、この川の先に日振島が存在しているのだ。





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