台湾旅行1日目


台湾といえば何を思い浮かべるだろう?太平洋戦争で敗戦する前は日本領土であったこととか、野球くらいしか思い当たらない。
今思えば外国音痴だと思うが、昨年中国武漢に旅行に行き、毛沢東を読んだことで中華の近世に少し興味をおぼえはじめた。その共産党中国は今や押しも押されぬ世界の大国となっているのだが、アメリカやソ連も援護したという、蒋介石率いる国民党中国は台湾へ渡り、どうなったのか?
そのようなことが気になり今回の訪問と相成ったわけであるが、現地でようやく気付いたことがある。それは、日本語を流暢にしゃべったり日本へ旅行に行った事があるという台湾人の多さだ。そう、日本国内で見かける中国人と思っていた人たちの中には台湾人も含まれている。今はコロナで交流が断たれているが、今後は注意して見物し、台湾人と中国人の違いを見分けてみたいものだ。

年末の忙しない世の空気から逃れるように関空へ。2019年の日本はさほど寒くなかったが、台湾ではもっと暖かいであろう、とあまり着こまずに出発した。関空からは、高雄→台南→台東→高雄という行程で計画し、言葉もよく分からないのでホテルはあらかじめネット予約しておいた。中国と違いネット情報が多く便利な国だと思うのだが、足ツボとかの情報が多く名物や名産がよくわからなかった。
しばしのフライトの後、高雄空港に到着。初めての南国の陽気を感じたいと、足早に入国ゲートへと向かったのだが、そこでかなり時間をとられてしまうことに。驚いたことだが、台湾の年末では入国する外人がとても多く、200人ほどが外人ゲートにズラッと並んでいたのだ。
武漢では審査にかなり時間を取られてしまったが、高雄ではすぐに入国することができた。早速お金を両替し地下鉄で高雄駅へと向かう。切符は中国と同じプラスチックコインで、ホームも車両も中国と似ていた。

高雄駅でようやく外の空気をじっくりと味わうことができたが、少し汚れたビルが多く、とても南国という雰囲気ではない。ちょうど総統選の時期でもあったので候補者たちの写真が掛けられていたり、選挙トラックが走りまわったりしていて、どことなく忙しい気分にさせられる。


ビルの一角に興味があった檳榔の看板を発見。しかし、中身はゲームセンター?隣には直接的な表現の欲望用品屋があるし、パチンコ屋なんかもある。高雄が繁華な町だということがよく分かる景色だった。

ここから台湾鉄道に乗り換え台南へと向かう。切符売り場ではメモに「台南・快・2張」と書き、何事もなく購入することができた。
中国のように右往左往するのではないかと思っていたので、少し拍子抜けしたが、これで心にも時間にも余裕ができて弁当屋で駅弁を購入し、駅構内で食べた。


日本人だと米がドカーンと入った弁当か、おにぎりがいっぱい入った弁当が好きなのだが、台湾ではこのように肉々しいお弁当が主流のようだ。弁当じたいはうまかったし、腹もいっぱいになるのだが、肉の量の5倍くらいの米が食べたい。

高雄から台南までは40分ほどだった。ほとんどの時間は睡眠に費やしてしまって外の風景を楽しむ事はできなかった。
台南についた時には周りはすでに暗い。時間は夜の7時過ぎ、かなり多くの人達がこの駅で降りてどこぞへと歩いて行く。私たちもその流れに紛れ、薄暗い町の中へと吸い込まれていった。

台南は高雄とは少し趣が違うが、バイクの多さは同じようだ。交差点の一番前がバイクの待機スペースとなっており、車を追い越してきたバイクが全部そこに止まっている。市場でもバイクに乗ったまま買い物をするし、店の前の歩道にもバイクがいっぱい駐車されている。観光地ではレンタルバイクも人気のようだった。暖かい気候のためだろうか。

駅から少々距離があったが、今回は写真の「名世大飯店」にて宿泊。フロントの人は日本語をしゃべれるし、フレンドリーで台湾の事はなんでも聞いてくれ、という感じの方だった。建物自体は少し古かったが、部屋の扉は自動ロック。日本人客も多いのか浴槽もついていて使いやすかった。



ホテル周辺をブラブラと散策する。ホテルの裏には鄭成功時代の部将・陳氏の邸とされる場所があり台南の歴史の古さが分かる。周囲の少し薄暗くやや不気味な建物群もよりいっそう街の雰囲気を良くしているように感じた。

やがて、周囲よりも明かりが強く灯っている場所へと来てしまい、なんだろう?と入ってみると、「天壇」という名の廟のようだった。「廟」と一言に言っても、神が1柱なのではなく、迷路のような建物の中に様々な神がいて、1つ1つ祠のように祀られており、祈り巡るように作られている。ここに台湾の人々は集まり、線香のようなものを手に壇の前にかしずくのだ。


なにより驚いたのが若い人が多かったことで、日本ではとても考えられぬ信仰心だと思い、共産中国が無くした文化がこの台湾で息づいていることを感じたのである。





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