香川県高松市を巡るのは2014年にドジョウうどんを探し回って以来のこと。あちこち聞きまわり、「祖母が食べていた」とか「ついこないだドジョウの店が閉店してしまった」などと言われ、まったく見つからなかったドジョウうどん。ようやく見つけたと思った高松市内の「しるの店おふくろ」では、北海道から期間限定で輸入しているのでしばらく置いてないとのこと。最終的に琴電長尾駅周辺の「うどん嵯峨野」というお店でドジョウうどんを発見。土鍋にドジョウが並び、野菜と共に煮込まれています。骨が太く、イガイガして食べにくかったけれども、ドジョウのダシが汁にでていて汁が美味かったのです。 それほどドジョウうどんを求めていた私ですが、今回は石清尾古墳群が目的なので、うどんはまったく食べぬつもりで訪問致した次第であります。 ![]() この頃の日本は、いまだ人々の心が闇に沈む以前のことでした。これだけ多数の中国人が往来を闊歩しているにも関わらず、しごく呑気に、それはそれは幸せに暮らしておりました。私もその幸せな空気の恩恵にあずかり、隣人に気を遣うこともなくバスへと乗り込んだのです。 難波から高松バスターミナルへ到着したのは昼過ぎ。まずは観光マップでも頂こうと高松市役所へ、市役所には名産品の紹介があり、鷲ノ山石や庵治石を知ることになって、香川石巡りの旅がより充実することになりました。肝心のマップは置いておらず、近くに立地していた香川県庁へとお邪魔しました。 商工課でマップを貰い、腹が減ってきたので県庁食堂を利用してみることに。県庁ビルの二階に食堂があり、少しお昼の時間を過ぎていたため利用者もまばらでしたが、そこは、さすが県庁!メニューが豊富でお手頃のお値段。立地も良いですし、高松に来た観光客にはオススメの場所だと思います。 ![]() ![]() メニューを見ながら色々と悩み、結局選んだのは入口に一押しと書かれていた「さぬきのヨーグルト坦々うどん」。うどんは食べないと決めていたのにいきなり注文してしまったが、オリーブ豚にしょうゆ豆と高級品を使用していて観光客にぴったりのうどんなのだ。これは注文せずにはいれないでしょう。 会計を済まし席に着くと、見知らぬ男が二人声を掛けてきました。県庁だから変な監視員がいるのかと思い適当にあしらおうと思ったが、県庁の人ではなく四国新聞の方でした。現在、モリナガの新製品を県庁食堂で試供していて、それを四国新聞社が調査しているとのこと。そのメニューがヨーグルト坦々うどんなので意見を聞かせて欲しいと言われる。それに対し、「一般的な担々麺に比べ、脂分が少ないのでうま味が少なく、ヨーグルトでまろやかになっているので辛さが弱くなっていて、物足りない」と答えてしまったが、後で考えると、豚や甜麺醤の臭みがヨーグルトで消されていて、さっぱりとした特徴的な担々麺だったかもしれない。四国新聞の方も「男からは物足りないような意見が多い」と言われてたので、標準的な意見を言っただけのようでした。 何故こんなことをしているのかについては、香川県民はうどんの消費量が多いことが原因で糖尿病が多い。これを打破すべくうどんとヨーグルトをコラボし、健康食品にするという狙い田あるとのことでした。 ついでにうどんの話しになり、県庁のすぐ裏手にある「さか枝」はうまいかどうかは別にしてさぬきうどんのルーツ。それはワンコインで食べられること。これを聞いてしまったがために「さか枝」に行かずにはいられなくなってしまった。うどん食わない予定だったのに・・・。 食堂の出口にはモリナガの人が居て、粗品に粉ミルクとヨーグルトをいただいた。坦々うどんは今日までで次はカルボナーラうどんを予定してるのでお願いします、と言われたがさすがに来れませんでした。しかし、モリナガの名前が頭に残ったので、スーパーなどでモリナガ製品が目に付くようになりました。宣伝はとても大切だということが分かりますね。 食堂を出た後は高松歴史資料館を訪問しました。県庁からゆっくり歩いて20分ほど、すぐ近くに香川大学があり、そこでもなにか展示会を開いていましたが、今回は見送ります。 さて、歴史資料館は、1階に図書館、2階には菊池寛記念館、そして3階に資料館というガラス張りのビルでした。少し変わっていたのが、皆さん、1階ロビーにあるコインロッカーに荷物を置いて小さなカゴを持って入っていくこと。銭湯にでも行くようなスタイルで図書館へと入っていくのです。おそらく、転売目的の盗難が相次いでいるのでしょう。不思議な現象ではありますが、豊かさや効率化も善し悪しだということでしょう。こればっかりは普遍なのであります。 ![]() ![]() 資料館は古代から敗戦までの高松市の歴史を大まかにまとめたものが紹介されております。 気になったものとしては、 古墳時代の「久本古墳」。石棚を持ち、陶棺も発見されている香川では珍しい古墳。和歌山や徳島では石棚が多く、岡山や近畿に陶棺が多いらしい。 讃岐三白の1つ「砂糖」は、向山周慶という人物が、情報流出を禁じている薩摩の人に学び、また別の時に助けた薩摩の人からサトウキビの苗を貰い、砂糖製造に成功したこと。現在でも種苗法や知的財産など、個人や組織の利益を守ろうという動きがありますが、その禁を破った時に新しいものが生まれるのだと思いました。 高松空襲がかなり大がかりで焼け野原になってしまった写真では、一面瓦礫になってしまった高松市街の後方に、屋島が悠然と何事も無かったかのように映っているのが印象的でした。 資料館では石清尾古墳群の資料はあまりおいていないのが残念でしたが、新しい発見も色々とあって面白かったです。 資料館を出た後は道なりにある高松センチュリーホテルに荷物をポイ。このホテルは正面の壁だけ新しくペンキを塗ったように見えてちょっと変だった。中はまともでしたが。 ![]() ![]() 夜ごはんを探しに商店街をぶらり。うどん以外が良いとウロウロと歩いていると、瓦せんべい屋が白下糖を入荷!と書いていました。気になって入って聞いてみると、讃岐のサトウキビを使ったもので黒糖とは少し品種が違う。この白下糖の糖蜜を取り除いて精製すると和三盆という真っ白な砂糖になる。料理に使うと、コクがでたり臭みを消したりできるし栄養も豊富とのことでした。 そんな高級糖蜜で焼いた瓦せんべいならば買わねばなるまいと、瓦せんべいと白下糖を購入。瓦せんべいは少しねっとりとした優しい味わいのせんべいで、白下糖は甘さよりもコクが強い蜜でハチミツのような喉に引っかかるキツさのない蜜でした。 夜ごはんを探し求めてマルナカへ。ここのそうめんコーナーが讃岐うどんばかりで少しびっくり。そのマルナカの前にあったのが「武内食堂」。怪しい雰囲気の漂う食堂ですが、入ってみると普通の食堂。少し油がこびりついたりしているだけのお店で、サービス精神が旺盛なのかカレーが無料でありました。 ![]() ![]() 私はオムライスを食べ、無料のカレー?(カレー風あんかけ)をかけます。写真では普通のオムライスに見えますが量が非常に多いのです。普通サイズでギリギリ食べきれたのですが、他のお客さんは皆、大盛りを頼み、ガツ食いしてすぐに帰っていきます。その食べっぷりを見てここが大食いの店だと分かりました。味が変なわけではないので、大食いの人なら大喜びだと思いますが、私では腹が膨れすぎてまいってしまった。 こうして膨れる腹と止まらぬゲップを繰り返し香川初日は暮れていくのだった。 |