旅行で気づいた中国人民についてA


今回は中国人の気軽さや素朴さをみていきたいと思います。

初日から5泊した宜昌のホテル(宜昌国賓半島酒店)が下写真になります。お値段は少々張りましたが、豪華朝食バイキング付きの高級ホテルです。宜昌では少し郊外にあたる立地ですが、周りには高層ビルのようなマンション群が新しく建てられていて商店も数多くあります。ホテル内部は洋風の造りで、客室にロビー、食堂等ここが中国だとは感じさせないホテルでした。

フロント業務は女性が多く日本語は通じません。豪華ホテルなので従業員達は教育が行き届いているのだろう、舌打ちや怪訝な表情は無く、愛想よく対応してくれます。安心感がある反面、中国らしさがなくて面白みに欠けるともいえます。
さて、緊張のチェックイン。私たちだけでなくホテルのフロントの女性もオドオドとしながらの対応となりました。聞き取れないので私たちは筆談を望み、メモに書いてとアピールしましたがフロントの女性は書くのを嫌がっているような感じでした。300元の保証金は身振りでなんとか通じましたが、他はほとんど通じなかったのです。中国では筆談を嫌がる風習があるのでしょうか?ご存知の方、是非教えてください。
翌日もフロントの同じ女性に対応してもらい、「我要明天早餐票二箇人」と書いたメモを見せ翌日の朝食券を要求。先日とは違いすぐに通じ、テキパキと行動し朝食券をくれました。そして、「どうだ」といわんばかりに少し胸をそらせ満足気な顔を見せます。これを見て教育はされていても中国人らしい素朴なところは変わらないんだなと思いました。

また別の日に、別のフロント女性にも朝食券を要求。こちらの方は「全部で6食分だね」と聞くのを中国式の指数字で表現してくれました。親指と小指を伸ばし真ん中の三本指を折り曲げた状態が中国での「6」なのです。その指数字を見せた後、使ってしまった!という感じで隠したのがまた素朴なところだなと思いました。

素朴でもあるし気軽に声を掛けてきてくれるので助かる事も何度かありました。旅行4日目に夷陵区へ行った時の事になります。ホテル前のバス停「移動通信大楼」という所から「葛州堰」というバス停まで行き、そこからバスを乗り換えて夷陵区へと向かいました。

写真は乗り継ぎが可能なBRT駅で、「葛州堰」もBRT駅でこんな風に柵に囲まれています。私たちは初めてのバスの乗り換えに戸惑い、駅ホーム内でウロウロと看板を見回りながらどのバスに乗ればいいかを考えていたのです。すると細身の若い男性が声を掛けてきました。まったく分からないのでメモに「夷陵体育館」と書いて男に見せると、相手の男性は言葉が通じない事に少し驚きながらも「100路」と書いてくれて、また違う人としゃべりだしました。

宜昌は都市部である為交通量が途絶えることはありません。ひっきりなしに行き交う自動車が自らの存在をアピールする為にクラクションを鳴らし続けます。バスも同じようにクラクションを鳴らしながら駅へやってきます。そのたびにたくさんの乗降客で賑わい、人があちらこちらへと移動します。そんな喧騒の中、先ほど声を掛けてきた細身の男性は、眼鏡の男性と少し長髪の男性の3人でひたすらにしゃべっていました。
カシ男は2元で乗り放題か聞く為に意を決して再度細身の男性に質問しに行きました。私たちが近付いてきたのを見て細身の男性は親し気に「100路に乗りなよ」という素振りを見せます。カシ男は「アルイェン?(2元?)」と聞きました。これで通じるか少し不安だったのですが、意外と分かるもので男性3人は「ブヨブヨ、ブヨウシュー」と言い手を振ってみせました。
カシ男が「シェシェ」と礼を言うと、男性達は「どこの人か?」という雰囲気をだしてきました。「イイベンレン」と頑張って答えるカシ男。すると細身の男性が「どうだ」というように胸をそらし「俺の言った通りだろう?」と眼鏡と長髪の2人をジロリと見回します。すると眼鏡の男性が手を前で重ね、30度にお辞儀をし「はい」と言いました。おそらく彼の知っている日本人のイメージを現したのだと思い、カシ男も中国人のイメージで「ハオダ!」と言ってみました。男性達は「違う違う、こうだ」と手でグッドポーズを作りながら「ハオダ!」と言います。そこからしばらく日本人2人と中国人3人で「ハオダ!」を連呼して笑いあったのです。

同じ意味合いでも「はい!」と背筋を伸ばして言うのと「ハオダ!」とグッドポーズで言うのとではかなりイメージが違います。日本人と中国人の性格の違いはこの一言に凝縮されているのかもしれません。
このように外人相手でもベラベラと気軽に相手にしてくれるというのも中国らしい素朴な一面だと思いましたし、雰囲気だけでなんとなく話が通じあうのもすごく面白いものだと思いました。

旅行3日目にも気軽な人達と出会いました。
この日はバスのルート確認や高速鉄道の切符購入の為に宜昌東駅を訪ねたのです。バス案内所のような場所がバスターミナルの一角にあり、その少し薄暗い小屋の中でバスの案内員とおもわしき女性と、荷物を持った男性がひたすらしゃべっていました。少し待っていたけどもなかなか終わらないので思い切って声を掛けてみます。メモを見せ「バスマップや値段票」などを要求してみました。すると、女性と男性2人共スマフォ―で何かを調べ始めます。荷物を持っている男性の方が積極的で音声変換があるからスマフォーに向かってしゃべろとスマフォ―を差し出してきました。何度かしゃべってみたのですが変換がうまくいかずしきりに首をかしげる男性。そうこうしているうちに男性は「もう時間だ!」と慌ててどこかへ走って行きました。これを見て「関係者じゃなかったのか!」と少し驚いた私たちでした。

その日の午後、ホテル近所の水悦城というショッピングモールの裏手の食堂へ行ってきました。上写真には写っていないのですが付近には市場があり、美味しそうな匂いを漂わせている食堂もチラホラと存在しています。中国の食堂では基本的に扉が開きっぱなしで、店内だけではなく歩道を使って食事を楽しむ事もできます。写真は食事時を過ぎている為、歩道にテーブルをだしてカードゲームにいそしんでいました。
いつものようにメモを片手に食堂を物色する私たち日本人。都市部なので食堂もたくさんあり目移りしてしまいますが、中国らしいところで食べたいと思っていました。そんな中匂いに誘われて一軒の食堂へと足を運びます。店の前の壁に掛かったメニューを見ながらどれにしようかと考え、なんとなくイメージのつくものをメモに書き出しました。
メモを持ちながら調理場の様子を眺めるも女性が忙しそうにしています。なんて声を掛ければいいのか分からないのでモジモジとしていたところ、隣に居た男性が私たちのメモを「どれどれ?」と覗き込み、代わりに注文をしてくれました。さらに麺のサイズを選べと言い、中に入って椅子に座れと身振りをします。私たちは案内されるまま椅子へと座り、男性はその様子を見届け満足そうにどこかへ去って行きました。

さらに同日夜も上に書いた店の付近で食べました。ここでは時間も遅く客が私たちだけだったので店の方が直接案内してくれました。注文したのが東北水餃なのですが、2コ以上からと言われ「OK」分かったと、親指と人差し指で丸を作るポーズをしてしまいました。中国ではこれが「3」の意味で、餃子が3コとして注文が通ってしまいました。武漢の移動パイナップル店で値段を聞いた時にも「OK」ポーズをして「3元」と言っていたので注意が必要です。
店内には私たちと料理を運ぶ若い女性、そして餃子をひたすら握っている女性がいました。その餃子を握っている女性が、私たちが帰り際に何かをしゃべりかけてきました。「ナーリー?」と言っているように聞こえたし、そのような雰囲気だったのですが念のためメモに書いてもらいます。「那里」と書いてくれたので納得し「日本」と書きます。店内の2人の女性は「オォ」とか言っただけで日本のイメージは何も無いようでした。少し気になったのが餃子の女性が手を拭ってからメモを書いたことでした。これを見て劉備の母親のように高貴な身分の方に違いないと関羽のように一人頷くカシ男でした。
※お店の料理の感想などはまた別ページにて書いていきますのでそちらも御覧下さい。

ここでも相手が何を言っているか聞き取っていたわけではないのですが、何故かどこから来たか?と言ってるように感じました。雰囲気だけでもなんとなく分かるのが不思議な感覚で、人にとって「意思伝達とは」と問いかけられたような気がします。





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