バスに乗ってみよう


※クリックで拡大が見れます

近頃、日本ではどこの町でも案内マップが入手しやすく、観光案内コーナーが設置されているところも珍しくなくなってきました。私たちが住んでいる奈良県でも、近鉄の「てくてくマップ」が近鉄沿線駅に置かれており、町を散策するのにあまり事前準備をしたり考える必要はありません。それで今回も、中国に到着して無料観光マップのようなものを探してから観光をする場所を決めていこうと思っていたのですが、甘い考えでした。
宜昌市では無料マップも観光案内所も無かったのです。スマホが恐ろしく普及している国なので、ネット前提で置いていないのだろうという推測でいますが、スマホを持たない我々にはたまったもんじゃありません。
宜昌市で唯一手に入るマップが6元で売っているマップで、私たちが見たのは泊まったホテルと、葛州堰近くの本屋だけでした。この地図が無かった事によりホテルへ到達するのに苦労しましたので、宜昌市の市街地図を描いてみました。ちなみに、ネットで中国の地図を見たい時は「百度地図」で見るのが良いでしょう。間違ってもgoogleで見てはいけません。なぜならgoogleは、かなり古い中国情報を載せていてあまり更新されていないか、中国の開発のスピードに追い付いていないのだと思われるからです。
縮尺がきっちりとしてない地図ですが、距離感を説明させていただくと、高速鉄道の宜昌東駅から地図Dの果園二路まではバスで25〜30分程でした。ちなみに泊まったホテルから地図Nの夷陵広場まではトンネルを通り徒歩25〜30分程でした。


泊まったホテルの最寄りのバス停です。中国のバス停はこんな感じになっています。中国ではバスの利用率がとても高く、それは料金が安いこととバスが回ってくる頻度がとても高いことが理由になっていると思います。バスに乗り遅れても10分も待てば、次がやってきます。大阪の真昼の地下鉄みたいだわ。

バス停にある路線図の案内板です。「一票制2.0元」とあるように、1路線につきどこで降りても2元(40円)というルールになっています。とても安いです。青い看板のものは料金が書いていないし私たちも乗っていないのですが、全て2元だと2〜3度、教えられました。
料金は前払い制で、乗るときにスマホをピッと精算機に当てる中国人がほとんどで、スマホを持たない(中国に口座を持たない)我々は紙幣か硬貨で支払うので前もって2元あるか確認する必要があります。たまに中国人で現金で支払おうにも1元2枚が無いのか、運賃箱に2元を入れようとする人に「待って!」と声をかけるシーンも見かけました。このバスでのシーンに代表されるように小銭不足がこの町の闇だと感じます。スマホが無い人は色々な所で買い物をするにも常に小銭を求められるのです。つまり、お釣が出ない払い方を求められてしまうという事なのです。
1元が日常生活における基本の単位になっているにもかかわらず、銀行へ両替をしにいくも1元には両替できないと断れらてしまいました。

路線案内板に青と緑で色分けしているのは、バスのシステムが少々違うからだと思われます。料金制で言うと、緑だと「歩行街」から「夷陵区市民服務中心」までの間ならどこで降りても2元であるのに対し、青は乗り継ぎ先も含めて2元に計算されるという違いがあります(乗り継ぎができるのはBRT駅のみ)。←もし間違っていたらご指摘ください。
後者がBRTと呼ばれるバスシステムで、バス専用レーンを走り、道路の真ん中に駅を設けています。

上写真がBRTの停留所です。一般的な停留所と違い、外から自由に出入りできないよう囲いがしてあるタイプの停留所となっており、出入りも改札口になっています。改札口はスマフォ支払いのみで、私たち外国人は窓口の所の箱に2元を入れて、一番右端の手動回転式ゲートになっている所を通って行きます。そして、バスからBRT駅に降りて、改札口を出ずにそのまま違う路線に乗れば、最初に支払った2元で違う目的地に行くことも可能です。

BRTの停留所だと、上写真のような路線地図が載っているので便利です。
帰国してから写真を整理していて気づいたのですが、こういったバスの路線地図の写真もかなり多く撮っていました。バスで移動したいがために、宿泊ホテルの最寄りの停留所をはじめ、撮影した路線地図をその日の夜にホテルでメモ帳に駅名順で書き出したのです。意外にこれは使えると思います。

どのバスにも付いていた緊急用のハンマーで、「窓の縁辺を叩き割れ」と使い方が書いてあります。バスジャックをしようと思えば、その場にあるとても都合のいい武器にもなれますね。バスの中での取っ組み合いの喧嘩などもハンマーで大事件に発展しそうで、レスキュー用なんだか武器用なんだか設置がとても難しいアイテムだと思いますが、ハンマーごとき制圧できない軟弱人民ではないはずだ!と中国ではあまり気にされていないのでしょう。

たまたま上写真の時は空いていて、ゆったりと座る事ができました。道路も悪く運転もワイルドなので揺れが激しいのですが、その揺れが気持ちよくて椅子に座っている時はついつい眠りに入ってしまいます。
ほとんどの場合は混み合っていて、立ちながらもギュウギュウに押されていました。バスは前から運賃箱にお金を入れて乗り、真ん中から降りるスタイルが基本(例外も多々あり)であるため、どうしても前が混んでくるので、詰まってくると運転手がガミガミ大声で叫び客を後ろへと詰めさせます。暴れまわるガキ共にも運転手が一喝しておりました(ガキはそんなことでは静かにならない)。

バスの運転手は個性的な方が多いようで、道が混み合っているからと、バス停のかなり前で止まって乗客を降ろしたり(バス停で待っていた乗客が目ざとく見つけてバスまで走ってくる)、少し遅れた乗客をバス停ではない所で乗せたり、かと思えばバス停ではない所で乗せろとバスを叩いた人は乗せなかったり、便所をしていた乗客を待っていたり(クラクションを鳴らすと便所から乗客が走って来た)と、かなり自由気ままな方が多かったように思いました。

一方、乗客のほうはというと、身体の悪い人や年寄りに積極的に席を譲っている人が目立ちました。自分主体の考え方をする人が多いと思っていたので少し意外でしたが、自分主体だからこそまわりの視線も気にせず、また相手がどう思うか関係なく譲っているという風に解釈することもできます。日本だと気持ちは同じでも遠慮して言わないことが多いので、どちらが良いのか少し考えさせられる問題でした。


さて、所は変わりこちらは武漢市のバス路線図です。看板の右端に書いているのですが、バスには3種類あり、それぞれ「普通車1.0元・双屋車1.5元・高等級車2.0元」と値段が決まっています。私たちは三度乗ったのですが、乗る時に1元札を見せ「イー?」と聞いたら、三度とも「アル」と答えられました。なので高等級車2.0元以外のバスがどんなものかはお目にかかれませんでした。
また、武漢市バスは宜昌市バスとは違い、バスの路線と停留所がかなり多く理解することがとても難しいです。しかし、武漢公共地図があればそんな難しいバス路線すらなんとなく理解することができます。

武漢公共地図はこちらのツーリストインフォメーションで無料で手に入れる事ができます。武漢駅の前のバスターミナルの横にあり目立つのですぐ分かると思います。入手するのに本当に苦労しまして、「観光案内所」を聞いても伝わらないのか知らないのか、この建物の事を教えてくれません。すぐ近くのエスカレーター監視員の若い女性に聞いてみたのですが、3Fの温声小屋に行ってみろと言われ、温声小屋(案内小屋?)の人に聞くとスマフォ―のアクセス番号を教えてくれました。中国ではあまり一般的ではなく、そもそも「観光案内所」というものがない可能性があります。
ここで手に入れた地図には「建設大道」や「解放大道」、「崇仁路」や「友誼路」といった道の名前がしっかりと書かれており、バス停に書かれている駅名とあわせていくことで大まかに行く場所が分かってくるのです。

武漢滞在中は中国の連休とかぶってしまったため道が混み合い、バスだとかなり時間がかかってしまいました。武漢駅から漢口駅まで1時間半もかかり、ホテル最寄りの「王家濠東」のバス停から湖北省博物館までだと50分ほどかかりました。ただ、地下鉄でも漢口ー武漢は1時間程かかると思われるので良し悪しは分かりません。
今回の旅行先ではあちこちで工事がされていました。なので、上写真のように臨時のバス停のような場所も多々あります。人民の方達もバスの停留所が変わるからなのか、降りたバス停で次のバス停はどれだといつも探している状態でした。
そんな少し難しいバス(巴士)ではありますが、地下鉄だと感じられない運転手と乗客とのやりとりや外の風景といったものが分かりとても面白いと思うので、中国を旅行する時はバス利用もいいのではないかと思いました。




旅行記に戻る